裁判沙汰になってしまった私の経験談をあなたにお伝えします。
今日は、私自身が経験した不動産売買におけるトラブル。
そして、そのトラブルを解決する為に行ったポイントについてお話したいと思います。
この時の話は「住宅の売買の話」ではありませんが、あなたがマンションを売却するときにも役立つ話なのでお伝えします。
もう5年ほど前になりますが、私はある裁判をしていました。
もちろん「訴えられた」のではなく私が「訴えた」ほうです。
当時私達の会社は、あるビルの所有者とお付き合いをしていました。
そのビルの所有者を仮に「A社」とします。
A社はこれからの資金繰りを考える中で、所有しているビルを手ばなすことを考えました。
そこで当社にビルの売却を依頼してきました。
私は一生懸命買主を探し、ついに条件的にA社の希望にあった買主であるB社を見つけました。
この時の契約ですが、一般的な住宅のように
「契約して、一ヵ月後くらいに決済・引渡し」という形ではなく
『契約と同時に決済・引渡し』という我々の言う「一括取引」
という形式をとりました。
しかし売る、買うだけの口約束だけで契約日まで待つのは非常に不安です。そこで、私は
買主から売主への「購入申込書」を、そして同条件の売主から買主への「売渡承諾書」なるものを作成しました。
これはマンションの売却でも「購入申込書」というものがありますが同じようなものです。
「誰が、いつ、どんな物件を、いくらで、どのようにして買います」
という条件が書かれています。
これを取り交わし、契約の日を待ちました。
その間、私は決済の手続きをしていただく司法書士さんや関係者に連絡をとり、あとは契約決済をするだけとなりました。
しかし、契約当日に事件が起きました。
契約当日、売主から電話が掛ってきました。
「本日の契約の時間ですが、変更してください。何時になるかは追って連絡します。」
契約当日このように時間変更があることは極めてまれです。
慌てて私は買主さんをはじめとする関係者に連絡をとりました。
そして、売主さんに「何時になるのか?」と電話を掛け続けましたが売主さんは電話に出ません。
そしてその日の夕方・・・・・
売主さんから電話がありました。その内容は・・・
「すいません田中さん、実はビルを別の人に売ってしまいました・・。」
『え?』
私は一瞬混乱しました。
売主は「今日契約して取引しましょう」と約束していたにも係わらず別の人にビルを売ってしまったのです。
「二重売買だ!」とすぐに言いたいところでしたが、今回の場合まだ契約はしていません。
契約前だから少しでもいい条件で他の人に売った。
これが売主の言い分でした。
私はその言い分に納得しませんでした。
しかし売主の言うとおり「契約は成立していない」段階での出来事です。
その後何度か話し合いを持ちましたが、平行線。
ついに私どもと買主さんで「売主を訴える」ことにしました。
【当方の言い分】
・すでに契約成立とみなす。
・買主に対し違約損害金を支払え。
・当方に対し仲介手数料相当額を支払え。
【状況は】
・契約はしていない。
・購入申込み書と売渡承諾書でお互い条件に合意があった。
・取引当日でのこと、司法書士や関係者の調整も完了済み
さて、この訴えに対し裁判所はどのような判決を下したのか?
次回お届けしたいと思います。