あなたに「売主としてのリスクヘッジ」についてお話します。
前回のメールで
【本来買いたい人が現れたら、売主としては早く契約するほうがいいのです。
なぜなら、住宅ローンの審査は契約してからでもできます。
また買うほうも「住宅ローン特約」があるのでリスクがありません。
買主の気が変わらないうちに契約だけでもしておくべきです。】
と最後に書きました。
http://www.e-ubl.net/mailmaga/mm090501.html
しかし、この前回のメールで登場した「買えない買主」の話の中で私は契約することを先延ばしにしていました。
なぜ私が、このようなセオリーを破って契約を先延ばしにしたのかを今日はお話します。
今回の件では買主側の不動産屋さんがいました。
話の中で買主さんの収入がそう高くなく、ローンが借りられるかどうかについて不安があると言われていました。
結果としては前回書いたとおり、「収入の問題ではなく、個人の信用調査でローンが通らなかった」のです。
しかし当初の時点では、まだ買主側の不動産屋さんから私も
「収入の面で厳しいとは思います」と聞いていました。
ある程度「ローンが通る」買主だと分かっていれば即契約に話をもっていくのですが、今回のようにローン審査が綱渡りの状況は非常に厳しい。
そこで私は 『金融機関の住宅ローンの事前審査が通らないと契約はしない』という条件をつけたのです。
これには大きな訳があります。
私は売主さんからマンションの売却を依頼されています。
当然ネット上の不動産業界のデータベースであるレインズに物件情報を登録します。
登録していれば他の業者から問い合わせがあります。
「御社の出されているマンション、まだありますか?(売れていないか?)」と問い合わせがあるのです。業界ではこれを「物確(ぶっかく「物件確認の略」)」といいます。
その時私は、状況に応じこう答えています。
●まだ全然買主候補が居ない・・・「大丈夫、まだあります」
●購入申込み書をもらったが、まだ合意していない・・・「商談中です」
●既に契約している・・・「契約済みです」
不動産屋さんは問い合わせをして「契約済みです」といわれれば、自分のお客さんである買主さんにはその物件を薦めませんよね。
もちろん「大丈夫、まだあります」となればお客さんに紹介します。
そして微妙なのが、この「商談中」です。
あくまで商談中ではあっても、その話が成約するか破談するかはまだ分からない。
状況として「売主には第一順位の購入希望者がいますよ」ということになる。
しかし当然破談になる場合もあるので、別の買主さんからすれば
「破談になるか、自分がもっといい条件で購入希望を出せば買える可能性がある」
ということになります。
よって売主側の不動産屋さんに問い合わせをして「商談中です」と言われた不動産屋さんも、自分のお客である買主に対して
「商談中ですが、売れてしまった訳ではないので内覧に行きませんか?」
という話になるのです。
ただ前述の通り、一旦契約をしてしまうと「契約済み」となります。
今交渉をしている第一順位の買主が「堅い(買うことのできる)」場合はいいですが今回のように「ローンのつくか分からない綱渡り状態の買主」と契約してしまうと「破談した場合のリスクヘッヂとして『第二順位以降の買主』を見つける作業」が出来なくなります。
よって、今回私は買主の状況からあえてセオリーを破り「契約の先延ばし」と「契約の条件」を買主側に提示したのです。
あと契約しなかった理由について大切なことがもう一つあります。
今回のメールですべてあなたさんにお伝えしたかったのですが、結構な文量となってしまったので、改めて次回にこの「もう一つ伝えたかった大切なこと」をお話しますね。