成約事例の落とし穴
不動産屋さんに査定をお願いした場合、多くは取引事例を参考にして価格を提案してくれます。
過去の事例から売り出し価格を考えるのですが、これが1つ間違えれば大変。
アメリカでは、過去取引された不動産売買のデータがすべてベータベースにて保管されています。よって、精度の高い事例が豊富にあります。
しかし、日本の場合は取引事例の「登録義務」がない。
よって成約しても登録されている事例と登録されていない事例があるのです。
そして、一般的には登録されている事例しか取れません。
また、このデータは不動産屋さんだけが見れます。
こうした背景で2つの問題があるのです。
1、事例の偏り
例えば、安く売られた事例だけ登録されており、結構いい値段で売れた事例が登録されていない場合どうなるでしょう。
当然これから売る人に提案するとすれば、登録されている安い事例が「基本」となるのです。
よって、本来であればもう少し高目からスタートできる売り出し価格も、低めの事例に引っ張られてしまうことがあります。
2、事例が見れないから
一般の人が事例が見れないことも問題です。
もし査定を依頼した不動産屋さんに悪意があるとすれば、売るのに都合のいい安い事例だけだされる可能性もあります。
「いやー調べましたが、このくらいですよ。」と事例を出されれば、売主としてはぐうの音も出ません。よって、その事例を参考に安めで売りに出されることになるのです。
このように、日本においては成約の登録義務がないことから「事例=必ず正しい」といえないのも事実です。
こういう背景があるからこそ、売却を依頼する場合は、誠実な不動産屋さんを選ぶ必要があるのです。
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