200万円捨てる勇気
マンションの話ではないのですが、こんなお話がありました。
とある不動産オーナー、淡路島に土地を持っていました。
リゾート地の中にある大きめの土地。
バブルのころはよかったのですが、今では閑古鳥。
売ろうということで相談を受け、当社と淡路島の業者さんとで協力して販売をしていました。
しかし、時代が時代。なかなか売れない、問い合わせも無い。
約半年もの間、動きがありませんでした。
そんなある日、突然電話がかかってきました。現地の看板を見た人から。
「この土地を買いたい」という話です。
早速淡路の不動産屋さんとも連絡をとり、買主が希望する条件を提示してもらいました。
その価格は数千万円の売値に対し、200万円だけの交渉でした。
私も淡路の不動産業者も「これはいい条件だ!」と思いました。
なぜなら、そもそも値段設定が高め。
200万円ぐらいの交渉であれば、御の字。
売りに出す際も「少し高い」ことは売主さんも納得済みでした。
また、実際に売りに出しても反応が無かった。
こういう現実の姿からも、今200万円の値下げで売れることは、結果 売主さんにとっても悪い条件ではないのです。
私は早速この購入者の提示額をもって売主さんのところへ行きました。
これまでの状況、これからの市場予測。
こうしたことも説明し、今この値段交渉を受けても売るべきであると私は説明をしました。
これは「売れないと手数料がもらえないから」というような、小さな話ではなく、本当に売るのが売主のためであると思っての話でした。
しかし、売主さんはこういいました。
「今これで申し込みあるんだから、将来満額で買う人が出てくるでしょ。」
この一点張りでした。。。
結局、この売主さんは200万円の値段交渉に応じなかったのです。
結果、どうなったか。
それから5年、満額で買う人は現れていません。また、市場もさらに悪化しました。
振り返ってみたとき、この5年間の固定資産税と市場の下落を考えれば200万円の値下げは、いい話でしかなかったのです。この売主さんは2つのミスを犯しました。
・欲を出した
・先行きの読みを間違えた
1つ目の欲について、売れない物件をお持ちのオーナーさんが、それまでは「交渉があっても売りたい」とずっと言っていたのに、いざ買主が現れると「ほれ見たことか!」と急に強気になる場合があります。
こちらからすれば、「いやいや、ここまでの状況見てよ。アカンやん!」と話をするのですが、気が強くなってしまい「今」の状況しか見えなくなる売主さんが多いのです。
いつくるか分からない白馬の王子様を待っているのです。
おとぎ話ならともかく、現実の不動産の世界は甘くありません。
多くの場合は、一番最初に来た王子様が一番イケメンです(笑
2つめの先行きの読みについて。
売主さんに対し、私も一生懸命に現状と先行きをお話させていただきました。
もちろん、私は未来が見えるわけでもなく、バックトゥーザフューチャーの
ように、デロリアンに乗ってきたわけでは有りません。
だから私の言う「未来予測」が必ずそうなるとは言いません。
しかし、素人の売主さんよりも確実に未来予測については一日の長はあります。
あとは、私の話を聞いて売主さんがどう判断するか。。。。。
そこで売主さんは判断を間違いました。
5年前、200万円の交渉を断ったことで、今それよりも大きな損となったのです。
マンションを売るときも一緒です。
今値段交渉があって、しぶしぶその条件を飲んだとしても、数年後「結果よし」ということは多々あるのです。
マンションを売って成功する。
これは今の時点だけでなく、将来振り返ってもそう思える売却をしてほしい。
そのためには、今「折れる」ことも重要な判断なのです。
関連コラム
・
買主様を逃してしまうパターン