仕事始めたころの大きな失敗から学んだこと



仕事始めたころの大きな失敗から学んだこと

2019-03-12

こんにちは、株式会社ユービーエル代表の田中徹也です。

不動産の仕事を始めたのは1999年。
23歳の時だった。

当初からどこかで勉強することなく、父の会社に入ったものの誰も不動産のことを普通の会社のようには教えてくれない。
僕は、当時顧問で来ていた金融機関系不動産業者のOBの方にいろいろ教えてもらっていた。

残念ながら不動産業って「じゃあまずワンルームの賃貸からやってみようか?」というものではなく、うちの場合はいきなり億単位の売買に携わる。

これは金額の大小ではないが、やはりそれだけの金額の物件なので売りに出す前の物件調査がすごく大事になのだ。

何を調査で見落とすのか?

不動産調査

そんなはいってすぐのころ、大阪市西成区の一棟のマンションの売買をすることになった。
僕はOBの方に話を聞きながら、僕なりにいろいろ調べて売りに出した。

結果、地元の不動産屋さんを通じ買いたいという方が現れた。

通常流れとして、買いたい人が現れたら購入の申込書が入る。
その条件と売主の条件を調整していき、問題ければ契約締結となる。

契約時に、重要事項説明書という書類が必要になる。
これは、宅建業法上第35条書面といわれるもので、平たく言うと物件の説明書である。

契約までにこれを宅地建物取引士により買主に説明する義務が仲介業者にはあるのだ。

35条書面に書くべきこと、書かなくていいこと

35条書面

ちなみに、法律上は35条書面に書くことは決まっている。
よって、法律上書くべきことさえ書けばいいのだが、ここに問題がある。
仲介業者として、別の問題に縛られるのだ。

それは、物件について知っていて、買主の不利になることは必ず伝えなければいけないというものだ。

よって、むりくり探す必要はないものの、物件をよく調べておく必要はある。
しかし、そこにマニュアルはない。

だからこそこの物件ならこういう問題がありそうだな?という経験に基づいたひらめきや感覚、気づきが大事なのだ。

重要事項説明書作成時に見つかったミス

そんな中、重要事項説明書を作成し顧問に見てもらった時に一言。
これ、隣の土地の水道とか入ってきていない?

僕は、対象となる土地の水道は調べて問題ないと思っていたが、密接して建っている隣地の水道管までは見ていなかった。

「いえ、調べていません」というと、それは調べておくほうがいいと言われ大阪の水道局まで再度調査に行った。

結果、今回売買の対象地に北側の建物の水道管が通っていたのだ。
あくまでイメージ図であるし、この写真の物件ではないが、、、

イメージ図

こんな感じである。

どないするねん!これ

さあ、隣地の水道の一部がまさか対象地に入ってるとはびっくり。
慌てて、顧問に相談。
当然調査不足や!と怒られながらも、内心仕事始めたばかりなのでそんなん気づくか!!と若気の至りで思ったりもしたが、そんなこと言ってられない。

今であれば冷静に対応するが、当時は右も左も分からない。
どないするねん!これ!
と思いながら指示を仰ぐと、すぐに買主に伝えて、覚書を交わすという作戦になった。

そもそもなんでそんなことが起こりうるのだ?

近隣

常識的に考えれば、隣の建物の水道管が入ってきてるなんてあえない。
しかし、現実に起こった問題。
なんで、こんなことが起こったのか、時系列にまとめるとこうだ。

北側の土地に建物が建った、水道管がはみ出していたけど気にしなーい。

その後、測量して境界を決めたがその時水道管のことなぞ誰も気にしなーい。

今の所有者は不動産初心者なので気にしなーい。

さらにこの物件は銀行の紹介で買った、だから問題なんてないと気にしなーい。

ついでにその買った時の仲介業者もええ加減で、隣地の水道管など気にしなーい。

リスク回避の調査能力の高い弊社顧問があっさり気にする。
↑今、僕ここ( ゚Д゚)

こういうことなのだ。

隣地の水道管があって、何が問題?

しかしもっとそもそもで、水道管くらいあっても問題ないんちゃうの?って思いますよね。
ただ、こんなことって起こりうるんです。

対象地の建物が古くなった、または足回りの改装をしよう。
ユンボ(ショベルカー)持ってきて掘ろうか(-。-)y-゜゜゜

ショベルカーリフトオフ!!
穴掘りスタート!!

水道管があるなんて知らないからグーン!!

ブッシャー( ゚Д゚)&隣地水道使えなくなる!

損害賠償(-_-メ)

ということで、ここに水道管があることが分かった限り、ちゃんとしておく必要が仲介業者にはあります!

そこで出てくる覚書ってなんやねん

覚書

覚書と書くと難しいが、ようは「お互いの約束を書面にしておきましょう」というものだ。
今回の場合、北側の建物の持ち主とその覚書を現在の売買対象地所有者とで締結。
その効力を、買主にも及ぼすようにしておくのだ。

その時作ったのはこんな内容です。
書面は載せれないから、概略だけ出すとこんな感じ。

隣地同士の所有者二人は、北側建物の水道管が南側土地に越境していることを確認した。

将来北側の建物建て替えるときには、水道管は北側敷地内に引っ込めることを約束する。

このことは、お互い誰かに物件を売却しても、内容を引き継ぐ。

ざっくりですが、こうした内容になります。
この内容に、買主にも確認してもらいOKをもらい、これで良し!と思ったら別の問題も発覚

受水槽が事務所の奥です

売却対象の建物は水を受水槽にためるタイプでした。
その受水槽があるということでしたが、その場所が問題ありました。

そもそも、この建物は1階を駐車場にする体裁で建築し、実際にはその駐車場は事務所使用に直して貸していたのです。

そのことは、買主も分かっていたのですが問題は受水槽の点検が、その貸している事務所内を通らないと見れない!というトンデモ設計だったのです。

もちろんこれも事前調査不足と言われればそれまでの話ですが、当時の僕にはその経験はなかったのです。
今では絶対こんなことないですけどね(笑

この件も覚書で解決しました。

事務所の借主と所有者は事務所の奥に受水槽があることを確認する。

借主は、所有者の必要に応じ事前の連絡をもって受水槽の点検等の際立ち入りをすることを承諾する。
ただし、緊急の場合はいきなり入るで。

こんな感じですね。

結果、この取引はこうしたトラブルもありましたが、うまくまとまりました。

このことから多くを学んだ取引でした

この時の取引は本当にいろいろと勉強になりました。
また、目に見えないところに問題がないかを考えないといけないという、不動産屋さんとしての目をここで勉強させてもらったといえます。

また逆に、だれでもできる仕事ではないとも思います。
常にリスクを考えないと、とんでもない結果になる場合も。

そういう意味では、不動産屋さんの性格としての適性は心配性くらいがちょうどいいのだとおもいます。



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