なんで不動産にすると「相続が助かる」のか?
よく、相続対策で不動産を買うという話があります。
なんとなーく「不動産は相続税の節税になる」というイメージがありますが、資産の一部を不動産にするメリットについてお話しします。
相続の評価=不動産の市場価格でない
もっとも分かりやすいのは、というところです。
分かりやすいように、例を挙げて説明します。
Aさんは預貯金として1億円持っていた。
その預貯金で市場価格土地5千万円、建物5千万円の物件を買った。
この場合、預貯金としてあった1億円がそのまま、市場価格土地建物の1億円(土地5千万円+建物5千万円)となります。
で、あれば今Aさんが急に死んで相続が発生した場合、奥様のB様が全部相続したとしてその際不動産1億円評価に対し相続があるわけではないのです。
建物は固定資産税評価額、土地は路線価価格で評価
なぜ1億にならないか?
それは相続税の計算をする際の評価が不動産の市場価格ではないからです。
以下国税庁サイトより抜粋です。
[令和2年4月1日現在法令等]
相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要があります。
(1) 土地
土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価します。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
イ 路線価方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。(以下略(2) 家屋
固定資産税評価額に1.0を乗じて計算します。
したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。(以下略出典:国税庁土地家屋の評価
と、なっています。
そして、この評価をするとあくまで個別性はありますが、一般的に「市場価格の60-80%程度の評価」になります。
よって、1億の現金で相続税の評価をされたものが、土地建物だと6-8千万円の評価に下がり、結果相続財産の評価をさげることで税額も助かるとなるのです。
ですので、現金ではなく不動産は相続税の節税になる、と言われるところなのです。
しかし、中には大失敗も
確かに1億円の話単体であれば、「なるほど」となりますが、やり方を間違えて失敗する例もあります。
ありがちなのは、高利回りの収益物件を買ってしまうことです。
Aさんのお金で奥さんのBさんに収益物件を買うことはできません。
理論的にはできますが、当然贈与になるからです。
では、Aさんのお金でそのまま収益物件を買った場合、当然その収益はAさんのものです。
Bさん名義で不動産管理会社作って、そこで賃料一回受け取ってAさんに回せばいけんじゃね。
とかまあ、なんだ、いろいろあるかもですが収益はそのままAさんの「相続対象の財産」になります。
ほんなアホな!?な話もある
以前も相談受けたのですが
「相続税を払うお金がないので、父の不動産を売りたい」
との話でした。
しかし、その相続税を払うのはお父さんではなく、相談者の息子です。
親父さんの物件売っても、それは親父さんのお金なんで結果相続対象キャッシュは増えるだけです。
もちろん豪気なお父さんで、売ったお金で宵越しの金は持たねえと使い切ってれば関係ないですが、、、
まとめ
原則の話をすれば、不動産は節税に有効な手段である場合が多いです。
しかし、当然それは各々の資産背景や運用と大きくかかわります。
そういった意味では、不動産は相続税に有効な手段の1つというだけです。
ちなみに今はあまり効果が薄いですが「ゴルフの会員権」も実は昔は有効な相続対策でした。
理由は「相続の評価を現在の市場価格の70%で評価する」と現在も国税のページには記載されています。
息子がゴルフ好きなら、そういう手段もありました。
また、美術品で相続対策することも昔はありました。
最近はあまり聞かなくなりましたが、、、。
ちなみに、競走馬も相続対象です(笑
目的を手段と取り違えると、とんでもないことになります。
うちの場合どうしたらいいかな?などは、私にご相談いただければ対応可能です。