不動産登記法改正とNFT 前編
新年あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、元旦にすでに暇を持て余した僕は、午後からスタバにて読書っていました。
大晦日に年が明けたら読もうと買った一冊です。
先日こんなニュースがありました。
デジタルアート作品がNFTを活用したところ、なんと75億円で落札されたのです。
NFTって何やねん
Non-Fungible Token(非代替性トークン)
はい突然NFTといってもピンとこない方がほとんど。
詳しくはこちらのページですが、ポイントだけ抜き出すと以下の通り。
NFTアートとは、デジタルアートと仮想通貨のブロックチェーン技術を組み合わせたもの
NFTアートはブロックチェーン技術を活用することで唯一性を証明し、デジタルアートを価値づけることができる
はて、まあ分かりにくいですよね。
原版の保証
分かりやすくいうと、こういうことです。
僕がiPadで絵を描いたとします。
その絵をSNSでアップしたところ非常にバズッた。
みんな、僕の絵をダウンロードした。
という状況になったとき、間違いなく僕が書いたものだけど「その証明」ってどうしたらいいでしょうか?
例えばアナログ時代であれば「コピーされた」となっても、コピーのコピーは段々文字や画像が劣化します。
よって、コピーと分かりやすいこともあります。
不動産の業界でいうと、走り屋のおっちゃんたちがもってくる資料のようなものです。
※走り屋とは、、
しかし、デジタルのものである場合コピーは劣化しません。
よって、デジタルデータにおける「真の所有者」は誰なのか?は非常にあいまいになります。
そこで、そうしたものに「ブロックチェーンの技術」を組み合わせたものがNFTなのです。
ブ、ブロックチェーン?
ブロックチェーンというと分かりにくいかも知れませんが「ビットコイン」などの仮想通貨を思い出してください。
仮想の通貨はデジタル上に存在します。
紙の紙幣であれば、その紙幣を持っている人が「所有者」ですが、デジタルの場合はそれが分からない。
そこで、取引の履歴台帳をデジタル上に残しておくものがブロックチェーンの技術。
「この1ビットコインはAさんがもっていたけど、Bさんに売って」というデータを暗号化して紐づけています。
話は戻りNFTは
その話を踏まえ、再度説明すると
「デジタルのコンテンツにおいて、どれが原版でどういう経緯で今の所有者の手にわたっているか?」という話をデジタルで行う技術です。
それにより、持っているデジタルコンテンツが「本物かどうか?(コピーではないか)」を見定める鑑定書的なものでもあります。
今回読んだこの本は、そうしたNFTの基本的なことがまとめられていました。
さて、本書を読んで意外と理解しやすかったのは、僕が不動産屋さんだったからです。
不動産でいう履歴事項証明書やん
これはまさに、不動産でいう登記簿謄本。すなわち「履歴事項証明書」です。
この土地は、いったい誰のものか?
それを証明するのは、登記です。
ようは、デジタルコンテンツに「履歴事項証明書」が暗号化されてつく。というようなものです。
これにより、第三者に対し自身の権利を主張できるということです。
例えば、自分が書いたものだけでなく著名な方が書いたデジタルアート。
その本物を買って、NFTにあなたの名前が所有者として登録されたとしましょう。
そうすれば、その権利を転売したりできます。
また、美術館などが「このデジタルアートを使いたい」と思った時には、その真の所有者の「承諾」や「対価」を払うことで利用できるようになります。
これにより、「権利を持つ人」も「権利を使う人」も「権利を買う人」もブロックチェーンの技術、すなわちNFTを活用することで互いの権利が守られるようになります。
でも、不動産業界のNFT?ともいえる履歴事項証明書の問題
NFTは不動産における履歴事項証明書とは言いましたが、このままNFTが普及すると逆に不動産の履歴事項証明書には大きな問題があることが露見されます。
リアルタイムに権利者の記録を付けるNFTにない、問題点があるのです。
なぜ、「権利がある人」の証明をNFTが出来て、不動産の履歴事項証明書ではできないのか?
次回は法改正の話を交えて、後編としてお話しします。
今回取り上げた一冊はこちら。