不動産登記法改正とNFT 後編



不動産登記法改正とNFT 後編

さて、前編ではNFTについて少しお話した。

不動産登記法改正とNFT 前編

不動産におけるブロックチェーンが履歴事項証明書だといったが、これにも大きな問題がある。
それは。登記が「義務」でないことだ。

所有権移転登記をなぜする?

例えば、いままで不動産を買った人は経験あると思うが、司法書士が来て不動産の移転登記をする。
それに対し、登録免許税や司法書士費用を払う。

これに対し、何の疑問もなくしていると思う。

しかし、登記は現在「義務」ではない。

でも、当然のように所有権移転登記は行われる。
なぜか?それは「登記をすることで、その不動産が自分のものであるという対抗要件になるから」である。

NFTでいう、そのデジタルアートの権利が誰のものかを記録するのと一緒である。

義務でないことで起こった問題

家の売買をするときは、当然のごとく登記を移転します。
特に住宅ローンを使う場合は、銀行が「誰に貸すのか?」を明確にするためにも、必須です。

しかし、ここで問題があります。
登記は「義務」でない限り、権利を主張したい人が自主的に登記をする他ありません。
「当然自分が買ったものは登記するでしょ!」と当たり前に思うでしょうが、それをゆるーく放置してしまうパターンがあります。
それが「相続」と「住所変更」の登記です。

相続登記のトラブル

なぜなら、その場では金銭のリアルな動きがないので、相続人で「じゃあお父さんの家は長男のものにして、現金は弟とお母さんで分けてね」という形で決着がつきます。

そのとき、長男名義に登記すればいいのですが、亡くなったお父さんの名義のままになっている場合も。
そうなると、登記上は「この世にいない人の名義」という極めてアブノーマルな状況になります。

そして将来その不動産を売る場合、死んだ人の名義では新たな買主へ所有権移転ができません。
結果、いったん相続人全員の同意(実印・印鑑証明必須)をもとに、長男名義にしてから、新たな買主名義にしないといけません。

ここで大事なのは「相続人全員の同意」で、あとになって弟が「やっぱり兄貴だけであの家って公平でない」と相続登記に同意しないとなると揉めます。

また、それだけではく病気などで長男がすぐに亡くなった場合、その奥さんや子供たちまで絡み一筋縄で話が進まなくなります。
NFTと違い、リアルタイムに取引履歴がつかない不動産の登記には、こうした問題もあります。

住所変更登記を甘く見るな

また、住所変更登記も実は大切です。
名義の変更も「義務」でなければ、登記名義人の住所変更も義務ではありません。

登記には「名前と住所」が記載されています。
名義は確かに当人でも、引っ越しなどで住所が変わり印鑑証明などの公的証明書の住所も移転した場合、前の住所のままでは「売れません」。
住所変更登記をおこない、現在の名義と住所を一致させる必要があります。

これも義務ではないので、放ったままの人がいます。
現に僕も1つの不動産が住所変更登記をしていないままになっています。

住所変更がないことで起こった問題

住所変更くらいで、何で問題あるの?と思われると思いますが、今回の不動産登記法の改正で、この住所変更登記がある意味「義務化」されます。

その原因は「空き家」と「空き地」の問題です。
人が利用、また住んでいる物件であれば、その管理はそこにいる人がします。
しかし、空き家や空き地は誰の管理もされていないこともしばしば。

雑草まみれになり、ゴミの不法投棄の対象となったり。
すると、近所の人が「その空き地や空き家の所有者に連絡をとって、処分してもらう必要」があります。
なぜなら、いくら隣地で迷惑をかけられても、その土地上のものは他人がさわれないからです。

そこで、「この土地の持ち主に連絡をしよう!」として、登記をあげて所有者を調べて、その住所に手紙を出す。
そして帰ってくる「転居先不明」の返信。

管理のできない不動産のできあがりです。

相続登記もしてないわ、住所も変更登記されてないわの「ダブルパンチ」の物件もごろごろしているのです。
そこで、今回の不動産登記法の改正となったのです。

不動産登記法がどう改正されるのか?

簡単にいうと、これです。

相続登記・住所変更登記の申請義務化
・不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付。
・正当な理由のない申請漏れには10万円以下の過料

・不動産を所有する人について住所や氏名の変更があった場合、住所等の変更日から2年以内にその変更登記の申請をすることを義務付
・正当な理由のない申請漏れには5万以下の過料

まさにドンピシャの改正です。

ようは、「相続登記も住所や氏名の変更も、すぐに登記せい!せんかったら金取るぞ」ということですね。

で、この話が結局NFTとどう関係するの?

ここまで説明してやっと、結論です。
今回の法改正はまだまだ甘いと僕はみていますが、将来的には不動産登記についてもNFTのようなブロックチェーンの技術がつくでしょう。

個人の特定をマイナンバーカードで、紐付ける。
その結果、住所変更や結婚して名前が変わっても、データベース上で管理補完できます。

また、マイナンバーと紐づければ「死亡申請」があったタイミングで、その人が持っている不動産についてどういう相続が行われるかを期間を決めて申請する義務となるでしょう。

よって、もれなく相続登記も行われ「持ち主不在の不動産」が無くなることになります。

こうなることで、すべての取引はデータベース上に記録されていきます。
「管理社会だ!」「プライバシーが!」など言う方もいるでしょうが、意外とこれで「まともな人」が守られることになると思います。

これと同時に取引価格の情報なども蓄積されれば、不動産を売買するときの「査定」も楽にかつ、正確になるでしょうね。
そうなったら、不動産屋さんはもう「査定」の仕事がなくなりますね。

兎にも角にも、こうしてブロックチェーンの技術が、エンターテイメントの世界でNFTとしてうまく運用されれば、いよいよ公的な情報の紐付けに確実につながるとみています。

まあ、どっちにせよ、いろいろ「隠したり」「こそっと」やることができなくなってきいていますので、皆様不動産のことは今のうちに「整理整頓」して、不要なものはとっとと手放すようにしましょう。

その時のご相談はぜひ、僕にお任せください。(笑

長文にお付き合いいただきありがとうございました。



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