第312回 貸しているマンションを売る方法
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「賃借人に貸しているマンションを売る場合に今の入居者を退去させるべきか」
これについてお話していきたいと思います。
よくですね、「人に貸してるマンションを売る場合に出て頂いて、空き家として売る方がいいのか」というご質問を受けることがあります。
原則的にはですね、人に貸していれば収益マンションとして売ることになりますし、空き家となれば当然ですね、その方が住むための住宅としての売却、若しくは自分が住んでもいいし人に貸してもいいよというスタンスで売れるのが空き家のマンションの魅力です。
そしてですね、収益マンションと空き家のマンション、これ売る時にどう変わってくるかと言うと、収益マンションの場合は当然頂いてる賃料から算出されます収益、これを元に計算されます売買代金というのが価格となっていくわけです。
しかしですね、一般的な住宅として売る場合は収益性というのは特に関係ございませんので、欲しい方が欲しいという金額、若しくは一般的に売られてる金額が売買の価格となります。
依って、多くの場合はですね一般的な住宅として売る方が値段が高く売れるということが言えます。ですから、今入居者がいるマンションを売りたいという場合は、この入居者を出て行ってもらってから売った方がいいんじゃないかという相談が多いわけですね。
ただ、この入居者を出すというのは実は非常に難しいんです。
賃貸をしているということはですね、法律的には借地借家法というのものがメインになるですけども、この借地借家法上では貸主よりの退去。
法律的に言うと、契約を解約する場合には正当事由が要ります。
この正当事由というのは、例えば「売るから出て行って」というのは正当事由にはならないんですね。例えば、「自分の親族の住む家のために今そこを空けて下さい」これも正当事由にはならないんです。実は、この正当事由認められる場合がほとんどありません。
じゃあ、どういった事の場合が正当事由になるかと言うと、例えばあなた自身が貸しているオーナーだとしまして、あなたがもうお金が全然ない。
今の住んでいる家も出ていかなくちゃいけない。
更に、新しい家を買うことも借りることも資力的にできない。
今、その貸している家の人が出ていって、そこに住むしかもう生きていけないんだというところまでいけば、正当事由と認められる場合があります。
またですね、建物が非常に老朽化していて、ただリフォームしたいとか、建て直したいじゃあ、
やっぱり厳しいんですよね。
この建物がもう潰れそうだと、建築的にも危ないと、強度的に危ないから出ていってもらわないと困るという時の場合であれば、正当事由になる可能性はあります。
しかし、ほとんどの場合は正当事由が認められることが難しいですので、貸主さんから「出て行って」という話は難しいんですね。
ですから、あとは今の入居者と如何に上手く話をして出て行ってもらうかという事になります。
じゃあ、それどうやってやればいいのかって事なんですけども、貸主側から「出て行って」という事になってですね、借主さんが素直に出て行ってくれればそれはOK。
ただですね、借主さんが誰かの入れ知恵、若しくは相談した時にですね「そんなん出て行かなくていいんだよ。引っ越し代から退去まで手間賃まで全部もらってしまえよ」って事になれば、相手がごねることになりますんで、そこは上手く金銭的な解決をするか話し合いをもって解決するかという事になります。
どちらにせよですね、やはりその場合は入居者さんと貸主さんとの人間関係、これが非常に大きなポイントとなってきますので、将来売る場合、これを考えてる場合でも考えない場合でも人にマンションを貸す、自分の物件を貸す場合は常日頃から入居者との人間関係を円滑にしておく。
それが結果として、売主さん即ち貸主さんにとっても幸せ、そして借主さんにとっても幸せということになりますので、よく普段から人間関係ですね。
例えば、あまり連絡を取ると嫌がられますので、年に二回お歳暮とお中元ぐらいはですね。
あと、年末年始の挨拶ぐらいはするような形で、上手く人間関係を構築することが将来家を売る時に役立つという事になりますので、是非気をつけて頂きたいと思います。
まずですね、入居中の人がいる家を売る場合は上手く退去することができれば出て頂く。
できない場合は、収益物件として売っていくということを覚えておいて頂ければと思います。