第315回 今、損をする勇気
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『今、損をすることも時には大切』
こういった話を今からしていきたいと思います。
先日のメルマガでもお話した内容なんですけども、ある不動産オーナーさんがいまして私が売却の依頼を受けました。
この時はマンションではなくて、ある淡路島のリゾート地の土地だったんですね。
「この土地を売りたい」ということで、私が依頼を受けまして、当然私神戸ですからなかなか淡路島と言っても同じ兵庫県なんですけど、やっぱり橋を渡って行かなくちゃいけない。
依って、淡路島の不動産屋さんと提携をしまして、そこの不動産屋さんと一緒にこの物件を売っていったんですね。
もともとちょっと高めだなあと思ってたんですけども、やはり今の時代このリゾート地の不動産なかなか売れません。
依って、半年以上反応がない、問い合わせもないという状況が続いたんです。
そんな中、ある日一本の電話かかってきまして、「この土地が是非欲しい」という方が電話かかってきたんですね。買う方も当然値段交渉を考えてきます。
依って、もともと想定していた値段よりも200万円安い購入申込書が入ったんですね。
ただ、私にしても淡路島の不動産屋さんにしても200万円というのは、交渉の中の想定の範囲内でしたし、もともと売主さんに対しても「それぐらいの交渉入ってきますよ」という了解の上で売りに出しました。
そして、この200万円引いた後の金額であっても、今売るとしたら非常に良い条件であるということを私もその不動産屋さんもちゃんと分かっていましたし、当初売り出す時には売主さんにもそれを説明していました。
しかし、この売主さん今までなかなか売れなかった物件に実際に買いたいという人が現れたことによって、非常に気持ちが急に強気になってしまったんですよ。
だから、「今日売らなくてもこうやって買いたい人がいるってことは、満額で買う人が出てくるだろう」ってことを急に言い出したわけですね。
私にしたら、この売主さんが結果として良い売却をして頂くことが私にとっての大事なことなので、「今200万円値引きしても売るべきだ」という風に話しました。
これは単純に売ったら私が手数料もらえるからという、こんなちんけな考えではなくて、本当に今の時代、これからの先行き、リゾート地がどうなるかということをやはり我々なりにシュミレーションしてますので、その中で「200万円値引きでもいいから売った方が絶対メリットありますよ」っていう話をしたんですね。
ただ、結局このオーナーさんはその話には了解をせずに、やはり最後は売主さんが「売らない」と言ったらどうしようもありませんので、この話は断りました。
結果、今どうなったかと言うと、それから約5年経ちましたが、その物件は売れずじまいという状況です。
売主さんとしては、「なんで売れないんだ」ということ言われるわけですけども、それはもうしょうがない。時期を逃したし、タイミングとチャンスを逃したとしか言いようがありません。
5年経った今どうなってるかと言うと、当然市場価格も下落して、当時200万値段下げて売っていたらそっちの方がはっきり言って大きなメリットがあったと。
今は200万以上の値下げをしているという状況になっております。
皆さん、マンションを売る時においても今例えば値段交渉があったとしても、自分が売りたい値段当然あると思います。
売れる値段というのも当然あると思いますけども、売りたい値段に対しての交渉が入ってきた時は是非考えて頂きたい。これは、今この値段交渉に乗るべきかどうか。
それは、今このタイミングを見れば損かもしれませんけど、その御客さんを逃した後、例えば一年もし逃してしまった場合、毎年の毎月のローン、そして固定資産税だけを考えても、そして物件の下落幅を考えても今売るべきだったという後悔をしないようにして欲しいんです。
ですから、是非皆さんマンションを売る時、値段交渉があっても今の瞬間だけで考えない。
将来の事を考えれば、今損することも一つの勇気であるということを知っておいて頂きたいと思います。